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深刻な労災職業病


NMC 増える自殺者
 1998年の自殺者数は、前年比約35%増加して、初めて3万人を超え過去最悪を記録しました(厚生省「人口動態統計」で31,734人、警察庁「自殺概要」で32,863人、増加率はほとんど同じ)。とくに40代(3,031人)、50代(3,874人)の男性に多く、50代では前年の1.5倍を超え(人口動態統計)、動機別では「経済・生活問題」の自殺が70%増(6,058人)、「勤務問題」が53%増(1,877人)(自殺概要)などとなっています。

 不況、リストラの影響の影響を色濃く落とした結果です。それは、雇用、賃金ばかりでなく、労働条件の悪化、ひいては安全対策の後退や労働者の健康に及ぼしている悪影響も深刻なものになっています。自殺はその際たるものと言えるでしょう。
NMC 深刻な過労状態
 労働省が5年に一度行っている「労働者健康状況調査」の最新版(平成9年―1998.7.20発表)でも、ふだんの仕事で「身体が疲れる」労働者の割合が72.0%、「神経が疲れる」が74.5%で、ともに前回(それぞれ64.6%、70.1%)を上回っています。

 仕事や職業生活で「強い不安、悩み、ストレスがある」は62.8%(前回57.3%)で、その内容では、「職場の人間関係」46.2%、「仕事の質」33.5%等が高くなっています。

 ふだん何らかの自覚症状のある労働者の割合は83.7%。「肩、腕、首すじのこり・痛み」が51.9%、「目のかすみ・疲れ」が44.1%、「腰の痛み」39.9%などとなっています。法定の定期健康診断における何らかの所見のあった者の割合(有所見率)も年々上昇していますが、1998年ははじめて4割をこえて41.2%となっています。

 全体的に労働者の「過労」状態が深刻になってきていて、腰痛や首肩腕障害等々の過労疾患から、最悪なものとして過労死、過労自殺をも生じさせているという状況です。前出の人口動態統計で、自殺は死因の第6位ですが、第2位の心疾患、第3位の脳血管疾患も含めて、過労死、過労自殺に該当する事例が多数含まれているものと思われます。
NMC 恐ろしい発がん物質
 死因の第1位はがんですが、これに発がん物質への職業的曝露、環境的曝露がどれくらい寄与しているかはこの統計からはわかりません。しかし、欧米でいま現在大問題になっているアスベストによる死亡に関しては、その原因がアスベストであるとほぼ推定できる中皮腫(胸膜や腹膜のがん)がメルクマールになります。
日本でもようやくデータが利用可能になりましたが、中皮腫による死亡件数は1995年500件、1996年556件、1997年597件と、欧米の水準からみればまだ5分の1程度ですが、じわじわと増加してきていることがわかります。この大部分は職業曝露によるものでしょう。

 高度経済成長時代を通じて大量に使用された発がん物質の影響が顕在化してくるのはこれからですし、ダイオキシンや電磁波をはじめ、新たな化学物質等による健康影響も懸念されます。

 このような状況と比べると労災職業病統計に現われてくる数字が氷山の一角に過ぎないことがよくわかります(アスベストによる中皮腫の労災認定件数は肺がんと合わせて毎年20数件にすぎません。500〜600件の20数分の1です)。
NMC とまどう労災職業病被災者
 現状では、多くの労災職業病被災者が、労災保険の手続について知らない、知らされていない、職業病の場合だと、本人や家族も仕事が原因だと気がつかない、医師もよくわからない、適切な治療が受けられないという状態です。

 事業主が認めない、さらに妨害までしてくる悪質な事例もあとを絶ちません。労災認定基準やその運用の不備をはじめ、労災補償行政も問題だらけで、構造的な「労災隠し」とも言える状況が横たわっています。

 愛媛労働安全衛生センターでは、様々な労災職業病、様々な内容の相談にスタッフが応じ、必要に応じて医師、弁護士等の紹介も行っています。お気軽にご相談ください。

(このページは、全国労働安全衛生センター連絡会議のページを転用させていただきました。)


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